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卒業生を訪ねて

トキワ松学園を卒業し、それぞれの道へと歩み出した生徒たち。
卒業生へのインタビューから、トキワ松学園の魅力を感じてください。

第1回 「本なんて全く興味がなかった私が、
トキワ松の図書室でいつの間にか民俗学の本を読みあさるように」

中川裕実さん (2011年 3月卒業)

筑波大学 人文・文化学群 人文学類

卒業生の中川裕実さんは、「トキワ松に入るまで、本なんて全く興味がなかった」といいます。しかし、そんな彼女の読書との関係は、とある映画をきっかけに一変しました。

「中1の時に『妖怪大戦争』という映画を見て、妖怪という存在に激しく興味を惹かれました。それからは、日々図書室通いの毎日でしたね」

妖怪との出会いは、中川さんの知的好奇心に一気に火を灯しました。やがて短期間で図書室にある妖怪関連の本を読み終えた彼女は、妖怪が「民俗学」という学問と密接な関係にあることを知り、「妖怪を学問として深く研究したい!」という関心を持つようになったのです。

「中1の時に初めて図書室から借りたのは、母から頼まれた絵本」という中川さん。そんな小さなきっかけを見逃さないように、トキワ松の図書室はあえて「中1の教室の隣」に設計しています。

そこで登場するのが、司書教諭である勝見浩代先生と小澤慶子先生。2人は、中川さんの興味のありかを知り、本人も知らないうちにそれに見合った本を取り揃えていきました。それも、中高生向けの内容から、専門的な学術書へと関心の方向性を上手くリードし、少しずつ難易度を上げていくよう気を配りながら。

その様子は、さながら中川さんの“プライベート図書館”。彼女の在学中、トキワ松の図書室は、訪れた大人も驚くほどに妖怪・民俗学関連の書籍が充実していったそうです。

現在は、筑波大学 人文・文化学群 人文学類で学ぶ中川さん。民俗学の世界における「屈指の名門」への合格には、彼女自身の実力はもちろん、司書教諭の2人による献身的なサポートが一役買っていることは間違いなさそうです。

トキワ松で読書好きになった中川さんは、在学中「図書委員会」での活動にも力を注ぎました。例えば、高校2年次の文化祭での研究展示発表『図書館の歴史』に関するレポートを書いた時には、下級生への下調べの指示、各所への取材依頼、勝見先生や小澤先生による原稿への厳しい添削など、「大変なことばかりだった」そう。「でも、おかげで調べて、書くということについて徹底的に鍛えられました。自分が知りたい内容をどんな本で調べて、どんなふうにまとめればいいのか、今ではだいたいのことなら見当がつきます。私はトキワ松で、本来なら大学で勉強するようなことまで学ばせていただいたような気がします」
自ら研究テーマを見つけ、それについて調べていくことは、大学教育の中では基本中の基本。にもかかわらず、日本の大学生にはその能力が欠如しているといわれます。中川さんは、周囲のサポートと自身の努力で、大学生顔負けの研究・論述スキルを身につけました。これから本格化する筑波大学での研究でも、トキワ松で身につけた力は存分に発揮されることでしょう。

取材者の質問の「意図」を理解し、順序立てて論理的な回答をする中川さん。その様子をあたたかく見守る勝見先生と小澤先生。とくに印象的だったのは、「中川さんは中学2年のころこんな本を読んでいた」といったふうに、両先生が彼女の読書の履歴を細かい点まで記憶をしていることでした。
「読書」を中心に、生徒と教員が6年間にわたる密接な関係を作りあげていく。3人の姿には、図書教育の理想的な姿が体現されているのかも知れません。

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