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卒業生を訪ねて

トキワ松学園を卒業し、それぞれの道へと歩み出した生徒たち。
卒業生へのインタビューから、トキワ松学園の魅力を感じてください。

第3回 「トキワ松に決めたのは、美術の教育内容はもちろん、
他コース生との交流が自分によい影響をもたらすと思ったから」

渡邉 安理沙さん (2010年 3月卒業)

武蔵野美術大学 造形学部 デザイン情報学科

一見して目を引く鮮やかな金髪がその個性を表している、トキワ松卒業生の渡邉安理沙さん。現在は、武蔵野美術大学 造形学部 デザイン情報学科に在籍しています。先日来取り組んできた「大学の魅力をアピールするwebサイト制作」という課題では、サイトのコンセプト決めやコンテンツのとりまとめ、さらには動画に付けるナレーションの作成(なんとお母様に依頼したそう!)など、プロジェクトの中心人物として、デザイン・美術の名門大学でも縦横無尽の活躍を見せています。

渡邉さんは、ご家族の仕事の都合で、幼い頃から海外を転々とする生活を送ってきました。幼児期を過ごしたカリフォルニアでは、絵を描くこと、ものを作ることの楽しさにふれ、小・中学校時代を送ったパリでは、ルーブル美術館やポンピドゥーセンターなど、世界に名だたる美術の殿堂を訪れ、美術の歴史や人類の財産とも呼べる作品との出会いを重ねていきます。美術教育という意味では、このうえない環境で学んできたとも思える渡邉さんですが、やがて入学したロンドンの中学校で転機が訪れました。

「その中学校は、週に6コマも美術の授業がありました。作品づくりを優先するスタイルは楽しかったのですが、ある時、自分にデッサンなどの"基礎力"が不足していることに気づいたんです。それで、日本に帰って、基礎を徹底して磨きなおそうと決めました」

若干15歳とは思えない決断力で帰国を決意した渡邉さん。日本で学ぶ場所としてトキワ松を選んだ理由は、「基礎を重視する美術コースの教育内容はもちろん、理科教育などが充実していて、他コース生との交流が自身の表現によい影響をもたらす」と考えたからだと言います。

そして、無事トキワ松への入学を果たした彼女にさらなる転機がやってきます。それは「バンド」。

「新入生歓迎会で見た、一学年上の先輩たちの演奏に衝撃を受けました。制服姿と演奏の激しさのアンバランスさがかっこ良過ぎて、軽音楽部への入部を即決しました」

そうと決めたら即行動。渡邉さんはそのポリシーのままに、バンド活動へとのめり込みます。まるでかつての自身のように、渡邉さんのバンドを見てトキワ松への入学を決めた後輩がいるというほどですから、そのかっこよさがうかがえます。

けれども渡邉さんは美術を忘れたわけではありません。ライブを告知するためのチラシや、ステージ衣装、演奏時に流す映像など、バンド活動のなかにも、美術・デザインが関わる要素を見いだし、自ら作り上げていきます。さらには、バンド活動のかたわら1年次より文化祭実行委員を務め、文化祭のポスターや舞台セットの制作など、高校生にして"クリエイター"という呼称がふさわしい、幅広い活動を行いました。

もしも「普通」の学校なら、渡邉さんのように果敢に才能を発揮して目立つ生徒には、時に「冷たい風」が吹くこともあるかもしれません。しかしトキワ松の芸術を愛する校風の中では、むしろ彼女は「憧れの存在」。周囲から認められる環境があるからこそ、渡邉さんは自由に伸び伸びと創作活動に没頭できたのです。

渡邉さんの歩みを振り返ると、トキワ松時代から、現在と変わらぬ多彩な活動をしていたことに驚かされます。同時に、そんな渡邉さんを型にはめることなく温かく見守る"先生"の姿にも気づきます。

美術科として、また担任として、3年間渡邉さんを見てきた小宮先生はこう言います。

「生徒が作品の中で"やりたい"と言ってきたことを教員が否定することは、トキワ松ではあり得ません。美術に"やってはいけないこと"などないのですから」

この教師にして、この生徒あり。生徒と同じ目線で、一緒に走ってくれる教員の存在こそ、トキワ松の美術教育の大きな特徴と言えるでしょう。

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